2007年6月15日(金)17:56

メルケル首相は妥協案によりEU憲法を救済する構え

AFP

EU首脳会議を1週間後に控え、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はEU憲法の救済に向けて妥協案を模索している。EU議長国ドイツが加盟国に宛てた報告では、メルケル首相は新たな「EU改革条約」で憲法の中心的要素を放棄する意向である。しかし首相は、特定多数決制の変更を求めるポーランドの強い要求については言及していない。スペインのホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテーロ首相はメルケル首相との会談を終え、我が国は妥協に応じる用意があると述べた。ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ大統領は合意の希望があると述べた。

メルケル首相が各国に宛てた報告には重要な妥協線が示されている。たとえば修正案は、イギリスとオランダの圧力を受け、EUの歌や旗などの象徴を削除している。また、これまで憲法の核心を成していた欧州基本権憲章は、簡単な「言及」に留められている。EU各国外相はメルケル首相の報告を叩き台に、土曜日にルクセンブルクで臨時会合を開き、議論を行なう予定である。

ポーランドとの合意が成立するか否かは、EU外交筋によれば、メルケル首相とポーランドのレフ・カチンスキ大統領との土曜日の会談にかかっているという。ポーランドは憲法に定められた票決原則で不利な扱いを受けていると考えており、ドイツに対するウエイトを高めるよう求めている。

ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ首相は、木曜日のフランスのニコラ・サルコジ大統領の訪問を受け、EU加盟国が来週のEU首脳会議で憲法問題の合意を得る、「かすかな希望の光」が見えた、と語った。しかし首相はあらためて、票決原則の変更を求めるポーランドの姿勢に変化がないことを強調した。

サパテーロ首相は、スペインは進展を得るために「柔軟な姿勢」を示す用意があると述べ、ポーランドに対し同じ姿勢を求めた。「私はどの国も除け者にされず、またそれを望んでいないと信じている」と首相は語った。メルケル首相は、憲法条約に異論があるのはポーランドだけではないと強調した。

ドイツ連邦議会外交委員会のループレヒト・ポーレンツ委員長は、ポーランド政府に対し譲歩を求め、「二つの速度のEU」をもたらさぬよう警告した。「更なる統合を望む国々は、ポーランドが邪魔するからといって、永遠に足踏みするつもりはないのだ」とキリスト教民主同盟(CDU)所属のポーレンツ委員長はケルナー・シュタットアンツァイガー紙Koelner Stadt-Anzeigerに語った。

原題:Merkel will EU-Verfassung durch Kompromisse retten




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